Mayfly Diary

ここは無人島です

鼓動と呼吸 佐野文哉は彗星だった

 

ゆるゆると薄く浅くK-POPオタクをやってきたのだけど、つい最近、ここ数年で一番心魅かれる人物が現れた。

だけど彼は光の速さで追うことのできない存在になってしまった。

SNSで愛を呟きまくったり、オフ会したり、イラストを描いたり、推しへの「愛」には色んな昇華のさせ方があると思うんだけど、やっぱり私には文章を書くしかないので、埃を被ったブログの蓋をあける。

 

当たり前だけど個人の経験として書く。

 

 

・佐野文哉は彗星だった

 

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  で、本題に入る。日プことProduce101 Japanというアイドルオーディション番組の話だ。視聴者には投票権が与えられて、推しに票が集まればデビューさせることができるという趣旨の番組。

 

わたしは推しが決まらないままグループバトルくらいまでだらだらと番組を見ていて、歌える人がいいなーとか思いながら何となく11pickしてた。だいぶ話数も進んでて国プたちもだいたい1pick決まりつつある感じだけど、自分はもやもや…だったのが、なぜだかコンセプトバトルの頃には佐野文哉以外は目に入らなくなっていた。あとから考えると、1年以上取り組んでいた資格試験が終わって気の抜けたタイミングとちょうど重なっていたんだけど、人生にはそういうタイミングがあって、そこにすぽっと現れたのが佐野文哉だった。ふと気がついたら「Black Out」ばかり狂ったように見てた。

 

え…こんな逸材いたの?

舞台のどこにいても目を奪われる。動揺しながらも、その存在に取り憑かれている自分がいた。

 

 「 Black Out」の彼は彗星のように青く輝いている。流れ星と彗星の違いはよくわからないけど、流れ星は塵で彗星は小天体らしい。流れ星は地球に近づくと燃え尽きてしまうけど、彗星が光って見えるのは熱で氷が溶け表面から放出されたガスや微粒子が太陽の光に反射し光って見えるからだという。

あの日プのチッケム、画質が粗くて照明も暗いためステージに立つ彼らのパフォーマンスを見るときにどうしても自然を目をこらすことになってしまう。その必死に見つめる感じも大きな宙に1つの星を探してる感覚とちょっとだけ重なった。

青く輝く彗星。それが佐野文哉だった。変化し続けながらどこかへ向かっている。それは彼に関わるすべてを反射する光。纏っている空気はひんやりとしていて、漆黒の瞳は無重力を感じさせる。

 

ヘアメイクとか衣装で彼のの魅力を際立たせるスタイリングも最高だった。佐野の耽美さを爆発させてた。そう、ステージって色んな才能が結集した化学反応で素晴らしくなるもんだ。

 

  「Black Out」以前の佐野文哉を特別まじめに見ていたわけではなかったのに、この時点ではっきりと「High Light」や「Why?」の時の彼がフラッシュバックしてきた繋がった。記憶にはしっかりとサブリミナルされたいたらしい。だから点じゃなくて線、そしてひとつの佐野文哉像となったときに、それはひとかたまりに遠くの空を流れ墜ちてゆく彗星のようだった。

 

 

 


【佐野 文哉(Sano Fumiya)】推しカメラ|♬Black Out@コンセプトバトル|PRODUCE 101 JAPAN

 

 それから何度も彼のチッケムやステージ全体の映像をみて没入した。

 

改めて見るHigh Lightは1番カメラワークが良くて、舞台も観やすくて、振り付けも構成も最高で、彼の表情とか視線とか指先の緊張とかもはっきりと分かってとにかくすべてが美しくしかった。最初からこんなにも素晴らしかったのね、とひとり感嘆した。

 

こんなに静謐な魅力を湛えた人、日本のアイドル界では見たことなかった。

 


PRODUCE 101 JAPAN|2組|SEVENTEEN♬HIGHLIGHT@#4 ポジションバトル

 

 

 

佐野文哉のダンスは鼓動と呼吸だと思ってる。彼のステージを見てると、動きが気流になってこちらまで流れてくる。吸って吐いて止めて、また酸素が血液に取り込まれて。わたしまで彼の動きに合わせて、いつのまにか呼吸を合わせてる。佐野文哉の呼吸に合わせてるんじゃなくて、動きに。

緩急と強弱

緊張と弛緩

その数ミリの独特なズレとかリズムに佐野文哉を感じた。儚さもあるけど、なんとなく硬質な手触りがある。彼はもっといろんな表現が出来るんだろうな。これ以上言い表せないけど、とにかく共に息をして、その瞬間だけは同じ時間の流れを生きているって感じがした。

 

美しく踊る人を見るとその人の踊りに同化して同じ時の流れに身を置くことができる。たかが3分されど3分、その幸福な余韻は永遠に思い出せる。それが何よりもありがたいし幸せなんだ。佐野の表現したものはそういうものだった。

 

ビジュアルも美しさもさることながら、佐野は歌声も彼そのものって感じがして素晴らしかった。幸せだったよ、ありがとう。この番組に出てくれて本当にありがとう。

 

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私がずっと大好きなNCTのテンが踊るBaby Don’t Stop

佐野文哉が踊ってくれたらそれはそれは素晴らしいんだろうな。 

佐野も止まらずにあなたの人生を謳歌してくれ。

 

 


NCT U 엔시티 유 'Baby Don't Stop' MV

 

 

 

・「物語」無しには語ることのできない「推し」という存在

 

わたしは今までずっとK-POPのオタクでしかなかったので、アイドルとして活動するアイドルたちとはそれなりの距離感があったし文化や言語の壁もあった。画面ごしにアイドルを見ては「素敵だなぁ」と感嘆するだけで幸せだった。でも今回の日プは全然違った。投票というパワーを手に入れてしまったわたしは、遠巻きにパチパチパチと拍手を送る立場から重みのある1票で推しをデビューに導くという、甘美だけど人を狂わせるある種のパワーを手に入れ動かされる立場へと変わってしまったのだった。

 

投票して彼らの運命に関われるとか、動画やSNSの投稿から直接母語で彼の発する言葉を受け取れるとなると、距離が近すぎてバグった。ダイレクトに言葉とか、年齢とかバックグラウンドも知ればおのずとひとりひとりに対するイメージも具体的になり思い入れも強くなる。自分でも制御が効かないくらいに。手の届かないものだと偶像だと自分自身に言い聞かせ続けなければいけない自分に困惑した。

 

  どんな相手との関係だって見えてるのは相手の一面でしかなくて、自分と相手の関係性とか一瞬一瞬の時間の共有とかで関係性って作られる。だからもちろん番組の姿は彼らの一面でしかない一方で、「推し」のイメージを形作る大部分ですらあったりする。番組では数ミリしか見えてないだろう彼らの人格は「推し」を構成する一大要素になり、それが彼らにとって魅力になる事も大いにあれば苦しみになることだってある。切り分けられた番組のなかで、いち視聴者としてそのバランスをとるのはかなり難しいことだった。というか無理だった。

 

かくして混沌の中から生まれた「推し」だっただけど、

脱落は辛かった…

次の日は何を見ても色も匂いも感じないくらいに落ち込んだ。

しばらくの間はとにかく解脱するか、じゃなきゃ次は白樺になりたいとさえ思っていた。

 

 

 

  だから結局立ち直るには、わたしに必要だったのは、彼を感動とかで消費して終わるんじゃ無くて、この感情を自分ごととすることで落ち着くことだ…と思ったけどまだ正直立ち直ってません。もう時間が解決してくれることを待つのみ!とにかく佐野文哉が素晴らしかった記憶だけは形にして残したい!それだけ。

  

デビューできた子たちは、タイミングとか運とかも兼ねた人生の色んなピースがかっちり合った子たち。運も実力のうちって言うように。決まったことは決まったことだし祝福しかしたくないし、彼らのこれからの頑張りに期待してる。だけど、放送の分量や最初のレベル分け、ステージの順番、投票締め切りのタイミングが違えば結果は全然違ってたたろうことは確信してる。だから、結果をみて納得できない人が大量発生するのは当然だ。愚痴やアンチはもちろんよろしくはないし、ネットリテラシーは世界全体で上げてかないとっていう壮大な話になっちゃうけど、それを差し置いても今回は個人の理性で抑えきれないくらい狂わせてしまうようなシステムと引力がこの番組にはあった。投票という言葉の公正なイメージのせいだろうか。

 

 

とにかく素晴らしい才能に出会えて感謝している。それに尽きる!すべての練習生に幸あれ!